宮崎県立図書館には、全国的にも珍しい図書館歌(題名:「宮崎県立図書館の歌」)があります。
本県出身の作家で当館の第23代館長(昭和22年5月~昭和32年9月)を務めた中村地平(明治41年~昭和38年)が、詩人の黒木清次と共同で作詞し、作曲家の園山民平に曲を依頼して完成したもので、郷土宮崎の美しい自然と、その中で存在感を放つ知や文化の源として開かれた県立図書館を、リズミカルな歌詞と高らかな曲調で表現した印象的な歌です。
この図書館歌は、同じく中村地平が創刊し現在まで続く当館の館報『緑陰通信』の第6号(昭和26年3月5日発行)に「館歌制定」という見出しで紹介されています。
同年5月23日に開かれた、県立図書館(当時)の盛大な増改築竣工式で唱歌が発表披露され、宮崎管弦楽団の伴奏により約20名の職員が合唱したという記録も残っています(『緑陰通信』第7号(昭和26年7月10日発行))。
【第23代館長 中村地平と緑陰通信第6号 紙面】 「将来は県民の愛唱歌として読書意欲昂揚の一助に資する」との期待が込められ、戦後宮崎を代表する文化人たちによって70年以上も前に手がけられた歴史ある貴重な歌ですが、楽譜と歌詞が記録として保存されているだけで音源はなく、長らく耳にする機会に恵まれませんでした。
このたび、宮崎の音楽分野で活躍する3名の音楽家を奏者としてこの「宮崎県立図書館の歌」が蘇ることとなり、令和6年3月23日、当館の2階研修ホールを会場に、来館のみなさまへの館歌披露を開催することができました。
この館歌披露では、ピアノパートとトランペットパートを編曲した伴奏にバスソリストの独唱が響くという組み合わせのアンサンブルで、1番から4番までのフルコーラスを歌い上げています。
奏者は、声楽家で県立妻高等学校音楽科教諭の松本英樹氏、県警察音楽隊元楽長でトランペット奏者の井手茂貴氏、そしてピアニストの安部まり氏です。
県の宝ともいえる図書館歌を、素晴らしい歌声と音色とともに末永く残していきたいものです。
【館歌披露の様子】
【動画「宮崎県立図書館の歌」】(Youtube「教育ネットひむかチャンネル」より)